「スポーツ」を「仕事」にしたい皆さんへ。
-他者とは違うアプローチで夢の実現を-
静岡産業大学
誌上セミナー
「スポーツ」だけを学ぼうとしていませんか?
「スポーツに関係する仕事に就きたい」高校生や大学生の皆さんがよく話す言葉です。夢を実現できるよう、ぜひ頑張ってください。静岡産業大学も私も、皆さんが夢を実現できるよう、全力でサポートします。
ただ、皆さんは「スポーツ」だけを学ぼうとしていませんか。スポーツに関係する仕事に就きたい人は、あなた一人ではありません。世の中にたくさんいます。あなたが夢を実現するには、そのような人たちに勝つ必要があります。そのとき「スポーツ」一本で勝負するのは、なかなか大変です。
それは、野球に例えれば、ピッチャーが速球だけをストライクゾーンの真ん中に投げ込んで三振をとろうとするもの、サッカーに例えれば、数多くのディフェンダーがいるフィールドの真ん中をフォワードが一人で切り込んでいこうとするものです。もの凄い速球やドリブルの技術を持っていれば、それも可能かもしれませんが、成功させるのは困難ですね。ときに変化球をコーナーに投げ込んだり、両サイドにパスを出し相手を揺さぶる方が、三振や得点をとる確率は高まります。
夢の実現には、真正面だけでなく、ときにコーナーやサイドからスポーツに切り込んでいくことが必要です。
「仕事」を学ぼう!
改めて、先ほどの台詞「スポーツに関係する仕事に就きたい」を考えます。そこには「スポーツ」に加えて、もう一つ「仕事」というキーワードが入っていることに気付きます。
「スポーツ」を趣味でなく、仕事にしたいならば、「仕事」に関する知識が必要です。それがなければ、「スポーツ」を「仕事」にすることは、なかなかできません。このような夢を持つ皆さんは「スポーツ」だけでなく「仕事」をぜひ学んでください。
スポーツに関係する仕事
ところで、あなたが考える「スポーツに関係する仕事」は何ですか。もし、あなたが本気でそれに就きたいと考えているならば、どのような仕事があるか、いま考えてください。友だちと話をしながら、思いつく限りの仕事をあげ、それをノートに書いておくといいですね。
あなたが高校生であれば、もちろん、思いつく仕事には限りがあると思います。それでも全然、構いません。この作業の目的は「知っている仕事の数を競う」ことではありません。作業を通して意識を高め、社会に存在する「スポーツに関係する仕事」への感度を上げることです。感度を上げて社会と接することにより、夢は具体化します。いつまでも、漠然とした「スポーツに関係する仕事」のままでは、意識は高まらず、夢の実現はたぶん、不可能です。
社会には「スポーツに関係する仕事」が数多く、存在します。皆さんがより多く接するプロスポーツやスポーツ指導は、それらのほんの一部です。グッズの企画や販売、ファッションとの連携、健康の維持・増進サービスの提供など、スポーツは非常に幅の広い産業です。
夢の実現に向けて
最後に、私の専門(統計を用いた経済分析)の立場から、スポーツを仕事にするためのアドバイスをひとつしましょう。
ビジネスでは、「自分がそれを好き」なことよりも、むしろ「相手がそれを好き」なことが重要です。どんなに「自分が好き」であっても、相手がそれを評価しなければ、お客さんとして、お金を払ってくれません。ビジネスでは、相手が好きな財・サービスを提供することが重要です。
そこで、企業はアンケート調査を設計し、人々の実態・意識などを調査します。皆さんも一度は、それに答えたことがあるでしょう。一見、簡単そうなアンケート調査ですが、そこには質問文や選択肢の作り方、対象者の選び方、結果の集計の仕方など、様々なテクニックがあります。
それらを身に付け、スポーツに関する調査を設計できるユニークな人材として、仕事に就くといいですね。