「スポーツ」×「ICT」の未来。

静岡産業大学

静岡産業大学誌上セミナー
講師/宮崎彰吾先生

近年、「スポーツ」への「ICT」の活用・進化はめざましいものです。これから(未来)の「スポーツ」のひとつの姿を想像してみましょう。

スポーツとICTの現状

ICTとは情報通信技術のことであり、近年多くのスポーツでも活用されています。例えば、サッカー・野球・テニス・水泳など、微妙な判定が必要な時に、映像などで再確認されている場面は、テレビなどで目にするかと思います。例えば、テニスのウィンブルドン選手権などの国際大会にも使われているホークアイや、ゴルフのトラックマンなどが非常に有名です。

映像や情報などのテクノロジーはスポーツに関わっているのは事実ですが、今、例を挙げたようなICTはトップレベルのスポーツ選手や限られた人しか経験できない部分もあります。その点ではまだまだスポーツとICTが掛け合わせられる余白が残っています。しかし、スポーツをやっている人なら、自分の動き(フォーム)をスマホやデジカメで撮影して、「今のどうだったかな?」とか「前回の動きと比べたら良くなった!」のように、映像を確認する場面が一度は経験があると思います。これも立派なスポーツへのICTの活用です。

スポーツの近未来を感じさせるICTの活用例

富士通のスポーツICTに向けた取組みの中に、スポーツのセンシングやAIを用いた取組みがあります。これは「体操採点支援システム」といい、富士通独自の3Dセンシング技術とAI技術を活用し、演技のセンシングや数値データの分析を行い、システム画面上で様々な角度からの閲覧を可能にするものです。

富士通は国際体操連盟や日本体操協会と協力して、「未来のスポーツの審判」を生み出そうとしているように思えます。この背景には、体操や新体操、フィギュアスケートなどの採点競技の評価や採点の不透明性が要因として挙げられます。観客から見て「なぜ今の演技がこの評価(点数)になるんだろう?」というようにルールが一般の観客には理解できないほど難しいことが問題です。さらにそれは審判の誤審なども招くく可能性にもなります。体操の採点競技の評価の客観性や公平性が保たれることで透明性がでて、選手も観客もたくさんの人が楽しめる体操(スポーツ)にしたい、という考えがそこには見えます。人間とAIとが協力して審判をする姿って、とても近未来的で考えるだけでワクワクしませんか?

「スポーツ」×「ICT」=「?」

正直、私もこの確かな答えはまだわかりません(笑)。しかし、ICTをはじめとする科学テクノロジーや情報は、「スポーツ」を今までなかった新しい姿として、世の中に表現しうるものであることは間違いありません。
このような革新的とも言える変化がある一方で、「スポーツはこういうものだ!」「スポーツはこうじゃなきゃいけないんだ!」というような考え方も少なからずあるかもしれません。どちらが正しいか間違っているかではなく、様々な考え方の問題です。それだったら、いろいろな視点を持って多角的にスポーツに向き合える人々(社会)の方が、きっといい未来のスポーツを作れそうですよね。

さて、あなたならどんな「スポーツ」の未来を想像しますか?

協力/静岡産業大学

静岡産業大学 つなぐ

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