アスレティックトレーナーが現場で実践している「セルフチェック」方法をお教えいたします。

常葉大学トレーナーサークルCATS

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水分補給の必要性や目的、またその方法については、前回の記事の通りで、脱水の予防、運動により上昇した体温を低下させることが目的になります。
しかしながら、その水分補給量が適切かどうかは、自分ではなかなかわかりません。今回は、アスレティックトレーナーが現場で実践している「セルフチェック」方法をお教えいたします。

体重測定

まずやっていただきたいのは体重測定。

練習前に体重を計ってから練習に入ります。もちろん、練習中には水分を摂取してください。練習終了後、再度体重を計ります。
ここでの体重減少が、体重の2%未満(つまり、体重50kgであれば1kg以内の減少)であれば、見た目には分からない程度の脱水症状で、その後の水分摂取などで速やかに回復可能です。

練習前後での体重減少がそれ以上の人は、運動中の水分摂取量が不足していると思われます。もう少し頻繁に水分摂取を行うことを心掛けましょう。体重の減少が3~9%の時は、頭痛やめまい、立ちくらみが生じ、血圧や臓器血流が低下します。体重の減少が10%以上の重度の脱水症状では、最悪の場合は死に至ることもあります。

さらに、翌日にも体重を計りましょう。体重が戻っていれば問題ありませんが、体重が減っている場合は、リカバリーの食事や水分補給が少ないと思われます。まずは体重測定を習慣化することをおすすめします。

自発的脱水に要注意

では、体重が減ってなければいいのか、というとそうではありません。
誤った水分補給を行うと、「自発的脱水」や「運動誘発性低ナトリウム血症」を引き起こす可能性があります。自発的脱水とは、脱水時に水だけを飲んだ際、体液のナトリウム濃度が低下し、のどの乾きが止まるために飲水行動が停止すること。この時、身体は体液濃度を戻そうとして、尿で水分を排泄しようとします。結果として体液が不足し、血液中のナトリウム濃度が急激に低下し、運動誘発性ナトリウム血症に陥る可能性があります。運動誘発性ナトリウム血症とは、手や足のむくみ、腹部膨満感、脳の腫脹による異常な疲労や激しい頭痛などの症状のことで、時に生命に関わる危険性もある病態のことです。

水分補給の際には、水やお茶だけではなく、スポーツ飲料や経口補水液も摂取するようにしましょう。また、スポーツ飲料を摂取できない時は、水にくわえ、塩を舐めたり梅干しを食べたりして、ナトリウムを補給する工夫をしましょう。運動中にトイレに行く回数が多い人も、塩分不足、もしくは過度の水分摂取の可能性があるので、注意しましょう。

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尿の色でセルフチェック

体内に水が足りているかどうかは、尿の色でも確認できます。下記に「ハイドレーションチャート」を載せました。これは尿の色で脱水症状をチェックするものです。基本的に薄い色の時は問題ありませんが、濃くなると水分摂取が足りていない証です。色を参考に、必要な量を摂取しましょう。練習中、練習後にチェックしてみてください。

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