楽しい「運動遊び」が
 幼児の心身の健やかな発達をサポートする!?

静岡産業大学

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スポーツは「遊び」?

「スポーツ保育」とは、スポーツの良い面を積極的に活用し、保育・幼児教育に役立てようというものです。

日本で「スポーツ」というと、過酷で辛い世界をイメージする人もいるでしょう。しかし、「スポーツ」という言葉の語源は「遊び」「気晴らし」という意味です。「スポーツ」の定義は学者の数だけありますが、その全てに共通するのは「遊び」であると言われています。

「遊び」であるからには「楽しいからやるんだ」という主体的な参加でなければなりません。そして、「楽しみ方」「楽しさの感じ方」は多種多様であり、強制されるものでもありません。

子どもは遊ぶのが仕事と言われることがあります。子どもが夢中になって遊ぶ(スポーツをする)、それを応援するのが我々大人の役目ではないでしょうか。

キーワードは「工夫」

子どもは基本的に運動好きです。運動を楽しめる環境ならば、自発的に体を動かします。幼児期の多種多様な「運動遊び」が、「からだ」だけでなく「こころ」や「脳」の働きを高めることが明らかになっています。

しかし、生活の中での運動遊びは減少し、必要な量や質を確保できない子どもも少なくありません。そこで、スポーツの良い面を運動遊びに取り込んで、子どもに必要な運動遊びを保障し、子どもの発育発達を支えようという考えが「スポーツ保育」です。

ただ、そのスポーツが本来の「遊び」としてではなく、やらされるものであったり、特定の動きに偏ったものであったりすると、かえって子どもの健全な発育発達を阻害してしまう懸念があります。

スポーツには、「競争」「協力」「成功」「失敗」「チャレンジ」というとても良い要素があり、指導者はスポーツをいかに楽しく、子どもの発育発達と結びつけてできるかを「工夫」することが求められます。正しい動きを教えるよりも、まずは子どもの「工夫」を認めること。そして、結果を評価するのではなく、そのチャレンジを賞賛すること。これが基本です。そして、指導者には、子どもの「工夫」を認めると同時に、その「工夫」が上達に結びつくことができるように更なる「工夫」をしていくことも必要です。

その結果、もっとチャレンジしよう、もっと工夫しよう、一緒に協力してやってみよう、と気持ちが前向きに楽しめることで、子どもの「こころ」や「脳」の働きも高まっていくのです。

スポーツの解放へ

もともと日本では、スポーツ(遊び)と体育(教育)の境界線があいまいで、「スポーツは遊びではない」という考え方が支配的でした。しかし、近年では、「体育」も「知育」「食育」「徳育」などとの対比で本来の意味へと戻りつつあります。

スポーツは「遊び」であるが故に、発育発達に重要な様々な領域と容易に結びつくことができます。それは幼児だけでなく、中学生や高校生でも同じことが言えるのです。

厳しさが求められてきた日本のスポーツの「解放」が「スポーツ保育」から始まると信じています。

静岡産業大学 ジュニアアスリート浜松西

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