生活習慣と運動が
学力アップの鍵!?
静岡産業大学
誌上セミナー
「早寝早起き朝ごはん」の習慣化
あなたは、何時に寝て、何時に起きますか?朝食はしっかりと食べていますか?
「早寝早起き朝ごはん」は、文部科学省が推奨している国民運動です。
しかし、国の調査によると、現代の高校生は、昔に比べて就寝時間が遅くなり、睡眠時間が短くなっています。その結果、起床時間が遅く、登校までの時間が短くなり、朝食欠食率が上昇していると考えられます。
では、なぜ朝食の摂取が大切なのか。
データによると、朝食を食べた子どもは、食べなかった子どもに比べ、体温が高く、通学意欲が高いとされています。
また、昨今では、貧血に悩まされている子どもや若者が増加しており、女子だけでなく、男子の割合も増えています。貧血の人は疲れやすく元気がないうえ、気力が湧かず、授業中に居眠りをしてしまうことも。貧血の予防にも、朝ごはんをはじめとしたバランスの良い食事を摂ることが大切なのです。
体力と学力の関係
「運動をすると脳が活性化する」という研究結果が出ています。
例えば、全国学力テストで常にトップクラスの福井県。同県の小学5年生を対象に行った調査では、学力テストだけでなく、体力テストでも全国トップであることがわかりました。
特に目を引いたのが、20mシャトルランによる持久力テスト。男子の全国平均が49.4回に対し、福井県は61.9回。女子は全国平均が38.7回に対し51.3回と、全国平均を大きく上回っています。運動で培った持久力が、学習においても集中力の持続性に繋がっていると考えられます。
さらに、運動部への入部率の高い高校ほど学力が高いという分析結果もあります。
普段の生活で気を付けたいのは、テレビやインターネットなどの視聴時間。1日1~2時間と比較的短い子どもは体力テストで上位に入り、3時間以上の子どもは下位に多い。同じ動作ばかりをしていると、体力はつかないし、脳も活性化しません。
身体を動かし、脳を活性化させることで、健康を維持し、集中して勉強することができ、学力の向上にも繋がっていきます。
次世代の子どもを育てる教育学
子どもの成長を理解しようとする学問や授業展開、時間の問題を扱うのが、体育科教育学であり、スポーツ教育学です。
本学では、分析力を発揮する前に、基礎となるモノの見方、感じ方、考え方を身に付けてもらえるように授業を行っています。これまでお話してきたように、子どもたちの健やかな成長には、適度な運動とバランスの良い食事、十分な睡眠時間などの規則正しい生活習慣が大切です。
私は、神経系や心肺機能、筋肉、骨などを科学的に研究し、生活習慣の乱れが、子どもたちの成長にどのような影響を及ぼすのかを50年以上にわたって研究しています。
最新の研究では、GPSを用いた位置情報から運動量やスピードを捉え、体育授業や部活動の分析などの調査もしています。本学に通う学生たちにも、研究を通して社会に対する広い貢献意識を備え、社会のリーダーになってもらいたいと思っています。