「部活動を頑張った子は就職活動で有利になる」とは聞くものの、実際はどうで、何を期待されているのか。実際の企業担当者に話を聞きました。

学生時代に部活動を頑張る意味ってある?


企業の方々とお話をしている中で多くの企業さんが『体育会系』の学生が欲しいと口にしています。まずは、率直に『体育会系』の学生のイメージを教えてください
中山/明光電気 そうですね。やはり明るくて声が出るとか、挨拶ができる、ハキハキしているという印象ですね。
星野/マブチ工業 粘り強かったり辛抱強かったり、物怖じしないで頑張れるというイメージもあります。
宮司/浜松鉄工 お二人がおっしゃることにも通じるのですが、ひとつの目標に向かって努力できたり、何かを成し遂げる力があるというのは感じています。あとは、仲間と一緒に一体感を持って頑張れる人という印象です。

ありがとうございます。皆さんの会社にも『体育会系』の社員さんがたくさんいらっしゃると思いますが、そんな社員さんは、会社でどんな活躍をされていますか?
星野 明るい人が多いので、会社全体が明るくなりますし、風通しも良くなります。部活動で上下関係を学んでいるので、先輩のことを立てられますし、後輩には優しく教えてくれているので、とても助かっています。
宮司 社会人チームのヤマハ発動機でサッカーをしていた社員もいるので、サッカー経験者が今は管理職に就いている感じがします。仕事をしていく中で楽しい雰囲気を作ってくれたり、プロジェクトの中心となって活躍している社員が多いと感じています。
中山 会社全体が明るくなるというのもそうなのですが、建設業なので、現場で色々な職種の方たちと一緒に仕事をします。その中でコミュニケーション能力の高さや観察力の鋭さを活かして仕事を円滑に進められるようにしてくれていると思っています。
星野 そうそう。弊社も建設業なので、それは感じています。人間力が高いというのでしょうか、その社員指名で依頼が来ることも少なくありません。あと、責任感や危機感のアンテナが高いので、少しでもおかしいなと感じた時にはすぐに確認してくれます。チームで動くことを理解しているので、ひとつのミスが大きな事故に繋がることを理解し、仕事をしてくれています。

採用をする立場として、部活動をはじめ、何かを継続してきた人の強みとは、どんな点だと感じていますか?
宮司 継続できることの大切さを知っていることでしょうか。何かをやり続けることって思っている以上に大変で、自分ひとりでは難しい。仲間や指導者、保護者など周りの人の支えがあって続けられていることを理解しているので、周りの人たちを大切にできる人が多いです。それは、人として大きな強みだと思っています。
星野 嫌なことや辛いことがあっても投げ出さずにやり切れることと、教えてもらうことに抵抗がないので、どんどん成長していけることです。色々な職人さんがいますので、時にはキツく言われることもあります。その時は、一瞬凹むかもしれませんが、そこでしっかりと踏ん張って乗り越えていける強さがあると感じています。
中山 辞めることっていつでもできると思います。続けていれば、いいことばかりではないですが、それでも辞めずに続けられることは、それだけで気持ちの強さを感じます。また、同じ競技を続けていたとしても、チームが変われば環境も変わります。それに適応して乗り越えてきたという点も強みだと思いますし、学生の場合は、どんなに疲れていても勉強もしなくてはいけないと思うので、頭を切り替えてやるべきことができるということも強みだと感じています。

気づかないだけで意外と強みというかアピールポイントになっているのですね。新卒採用の場合は、みんな職務経験がない立場ですが、どういった点を見ていますか?
星野 興味がないと続かないと思うので、現場を見てもらった時に楽しそうにしているか、ワクワクしているかという点を見ています。あとは、技術や資格は仕事をしながら身につけることができますし、職人さんの中にはそういった方たちも多くいます。なので、一番大事なのは、やる気です。
中山 まずは挨拶ができるかですね。あとはコミュニケーション能力であったり、時間をしっかりと守れるかどうか。特に社会人にとって挨拶や時間を守るとということは、当たり前のことなので、それがしっかりとできるかは見ています。
宮司 明るく話ができるかという点です。あとは、話をしている中で、会社の雰囲気に合う人なのかということは注意して見ます。やはり働くなら楽しく働いてほしいので、そういった点を見るようにしています。

なるほど。そういったところを見られているわけですね。最後に学生時代にやっておいた方が良いことや、経験しておいた方が良いことはありますか?
宮司 個人でもグループでも良いので、自分を高められるものを見つけてほしいと思います。そして、目標を立てて、その目標に向かって全力で頑張ってほしいです。結果はどうであれ、やり切ったという経験が必ず社会に出て役立つと思います。
中山 人と話すことですね。色々な人と話すことで言葉も覚えますし、どんな人とでも話せるようになると思います。あとは、自分の意見をしっかりと伝えることです。その第一歩として授業でしっかりと発言できるように心掛けてみると良いと思います。
星野 自分が何をしたら良いかを考え、自主的に動くことです。その中で、ここは自己判断で良いとか、これは確認した方が良いという判断ができるようになると思います。もちろん失敗もすると思いますが、学生の内にそうした経験をたくさん積んでおくと、社会で必ず役に立つと思います。



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