スポーツの怪我は
 予防できるのか!?

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スポーツの怪我は予防できるのか?

スポーツをしていて怪我をしたことはありますか?スポーツ活動への参加は、楽しむことや健康増進などの利益を享受することができますが、一方で、怪我をする可能性は必ずあり、リスクを伴います。

怪我をする(=受傷)リスクを予測する評価テストとして、スポーツで怪我をしやすい身体かどうかを調べるツールが世界で開発されています。代表的なものに米国で開発されたFunctional Movement Screenがあります。

図1のようなスポーツに必要な代表的な7つのテストを行うことで、無駄、ムラのない良い動きができているかどうか、悪い動作の癖を評価するものです。様々な競技スポーツで検証がなされていますが、Busch AM(2017)らの大学生野球選手を対象にした研究において、このテストスコアの低い選手はシーズン中に肩や肘の障害発生率が高くなることを示唆しています。

なぜ、そのように点数が下がるかは、体幹の安定性であったり、関節の可動性であったり、呼吸の仕方であったり、原因はさまざまですが、この点数が低ければ、自身の身体をコントロールする力が低いことになりますので、エクササイズを用いて悪い癖を修正します。そうすれば、自身の身体を思い通りに動かし、障害発生を抑制することが可能になると考えられます。

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万が一に備えよう!

怪我の中には、重症度・緊急度が高くなるものもあります。その一つが熱中症です。

近年、熱中症の対処方法は、頚や腋下、鼠径部を冷やすだけでは足りず、アイスバズ(氷を入れた水)に浸けたりすることが望ましいとされています 。身体の深部体温の降下が必須であり、表面から冷やしただけでは足りないということです。

さらに熱中症に限りませんが、生命を脅かすような重症かつ深刻な状況になった場合には、人命を救助するために迅速に医療機関へ搬送するための緊急時対応計画が必要です。心肺蘇生法の習得、AEDの場所(3分以内に装着できる)、救急隊への連絡マニュアル、救急車の誘導経路等を準備しておきます。予防も大切ですが、万が一起こってしまった場合の準備も大切です。

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実践の場を活用した学生教育

先記のような傷害予防や緊急時の対応準備などは、実際に計測機材を用いて測定し、得られた数値データを分析したり、緊急時対応計画を作成し、実行してみなければ、身に付きません。体育教諭やスポーツ指導者を目指す学生には、高校生の運動部等を対象にして、実際に測定、そして測定結果を吟味し、科学的な見地からアドバイスをするという実践の場を提供しています。科学的な情報を読み解き、その力を現場に活かせる実践力のある人材を育成したいと考えています。

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参考文献
1) Busch AM,Clifton DR,Onate JA,Ramsey VK,Comartie F.RELATIONSHIP OF PRESEASON MOVEMENT SVREENS WITH OVERUSE SYMPTOMS IN COLLEGIATE BASEBALL PLAYERS.Int J Sports Phys
Ther.2017 Nov;12(6):960-966.2)Huggins RA,Scarneo SE,Casa DJ,Belval JN,Carr KS,Chiampas G,Clayton M,Curtis RM,Duffy AJ 3rd,Flury A,Gammons M,Hosokawa Y,et AL.The Inter-Association Task Force
Document on Emergency Health and Safety:Best-Practice Recommendations for Youth Sports Leagues.J Athl Train.2017 Apr;52(4):384-400.

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