努力の先に辿り着いた東海総体優勝。

浜松日体高校 山岳部

令和5年6月16日から18日までの三日間、静岡県境にある金時山で行われた『東海総体』。市川蒼空、野中槇人、藤山龍、岡本千陽莉でパーティーを組んだ浜松日体高校山岳部が見事優勝を果たした。そもそも山岳競技とは、1チーム4人で、初日は主に知識審査、設営審査、炊事審査が行われる。知識審査では、ラジオから流れる情報のみを元に天気図を作成したり、気象、医療、自然観察に関するテストが行われる。設営審査は、制限時間(10分)内に4人でテントを立てる。設営中と設営後に審査員が細部までチェックする。炊事審査でも4人で協力しながら計画された料理を自分たちで作る。どちらの審査も審査員にチェックされながら行う緊張の中での審査だ。2日目以降は山登り。体力・歩行技術・装備・読図・行動記録が審査対象になり、全てのポイントで勝敗が決まる。

浜松日体高校山岳部には32名が所属。平日の練習では、25kgほどのザックを背負い、3kmから4kmを歩くほか、ラジオから流れる情報だけを頼りに天気図を書く練習に励む。週末には、月に1回から2回程度、泊まりで山を登る。

この大会をもって引退したチーフリーダーの市川蒼空はこう話す。「元々の目標は、県大会で優勝して全国総体に出場することでした。しかし、大会二日目に自分が体調不良になり、みんなの力になることができず、3位に終わってしまい、全国の夢は断たれてしまいました。ただただ悔しかったのですが、東海総体に切り替えて、そこでは優勝しかない、という想いで臨みました。山岳部は部員全員で山に登ります。誰か一人でも欠ければ下山しなければなりません。危険が隣り合わせの競技ですので、命の大切さを学びましたし、全員が一丸となって成功を目指す素晴らしさを体験できました。大人になっても、山登りは続けていきたいですし、人との繋がりを大切にしていきたいです」

2年生で唯一、優勝メンバーとなった岡本千陽莉は、「先輩たちがしてくれたように、先輩後輩分け隔てなく、みんな仲良く、相談し合えるチームにしていきたいです。コロナ禍があり、先輩たちが登れなかった山がたくさんあります。その山を僕たちが登っていくので、見守ってくれたら嬉しいです」と話した。

高校3年間で、自然界で生き抜くためのさまざまなスキルを身につけた。そのスキルは、間違いなく自分の命を守ってくれる。ただそれは、周りにいる誰かを助けるためにも活かされるスキルでもあるはずだ。

この先の人生、間違いなく困難にぶち当たる。そんな時も彼らは下を向かない。きっと見上げるはずだ。山頂を目指し続けた高校時代を思い出して。



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