今、注目されているスポーツデータサイエンティストとは?

静岡産業大学

静岡産業大学誌上セミナー
講師/青木優先生

スポーツデータサイエンスとは?

最近ではICT、IoT、GPS、そして映像機器の発展によって、様々な分野で「ビッグデータ」と呼ばれる多くのデータを収集できるようになりました。このビッグデータを分析するには、統計学や人工知能(AI)を基にした「データサイエンス」という分野の知識や技術が必要であり、大学生には非常に人気の分野となっています。スポーツ分野でも、選手のビッグデータを収集・分析することによって、選手やチームに有益な知見を見出し、活用することで勝利に繋げるためのノウハウが開発されつつあり、この学問分野を「スポーツデータサイエンス」と呼びます。スポーツデータサイエンスは新しい分野であり、今後の発展が期待されています。

スポーツデータサイエンスの成功例「セイバーメトリクス」

スポーツデータサイエンスの成功例としては、野球のデータ分析手法「セイバーメトリクス」が挙げられます。映画『マネーボール』では、メジャーリーグの弱小貧乏球団GMのビリー・ビーンが、野球経験ゼロでエール大学経済学部卒のデータ分析オタクであるピーター・ブランドと組み、「セイバーメトリクス」と呼ばれるデータ分析手法を駆使して、強豪金満球団を相手にジャイアントキリングを起こし、経営難の弱小貧乏球団を再建します。未だ観たことがない人には是非お勧めです。

スポーツデータサイエンティストの仕事
・スポーツの現場で働く

スポーツの現場で選手やコーチにデータサイエンスの観点からアドバイスを行うスポーツデータサイエンティストは、一般的に「スポーツアナリスト」と呼ばれ、テクニカルコーチに近い存在です。

この職種では、それほど高度なデータサイエンスの知識や技術は必要ありませんが、競技の理解や戦術、コーチング、データ分析ソフトを使いこなすスキルが要求されます。スポーツアナリストを目指したい人は、体育系学部、部活動やクラブチームなどの現場で様々な測定機器や分析ソフトを使い、実際に分析結果を競技にフィードバックさせることが可能な環境で学ぶことが大切です。

日本スポーツアナリスト協会(JSAA)のWebサイト「Pick Up Analysts」に2020年4月9日現在、24名のスポーツアナリストの紹介記事が掲載されています。下記にアドレスを示しますので、興味のある人は、そちらを参考にしてみてください。

・企業・大学・研究機関などで働く

本来のスポーツデータサイエンティストは、スポーツに関して高度なデータ分析ができる人で、スポーツよりも統計学や情報科学などを専門に持つ人が一般的です。データサイエンティストとして働く場としては大学や研究機関がありますが、最近では、データスタジアム株式会社、ライブリッツ株式会社、株式会社ディー・エヌ・エー、アビームコンサルティング株式会社、株式会社ウェザーニュース(スポーツ気象チーム)、SAPジャパン株式会社、株式会社ネクストベースなどの企業も挙げられます。興味のある人は、各企業のホームページを参考にして、将来、スポーツデータサイエンティストが活躍できる場について調べてみるのもよいでしょう。

日本スポーツアナリスト協会(JSAA)「Pick Up Analysts」
http://jsaa.org/pick-up-analyst

協力/静岡産業大学

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