スポーツシーンを彩るスポーツグッズ。
-グローバルビジネスの攻防ー
静岡産業大学誌上セミナー
講師/永山教授
「スポーツは、世界共通の人類の文化である」と謳った『スポーツ基本法』。この宣言はそのままスポーツビジネスの激しい世界競争への新たな号砲でもあります。
スポーツを「する人」「観る人」「支える(育てる)人」のビジネス
新たなスポーツ文化の確立を「する人」「観る人」「支える(育てる)人」といった「人」を重視した日本の戦略は、様々なスポーツシーンを創り出していきます。「する人」でも、トップアスリートを目指す人から日常生活での運動としてスポーツをする人まで、その幅はとても広いです。「観る人」でも、スタジアムやアリーナを訪れてご贔屓のチームを熱心に応援する人からお煎餅やえびせんをかじりながらテレビで観戦する人までいろいろです。また、「支える人」「育てる人」に至っては、スポーツ競技大会のボランティアや学校の運動部のマネージャー、陰で支えるコーチや家族など、その範囲はある意味すべてになります。しかし、そこにはある大きな共通分母が見て取れます。ウエアやシューズといういわゆる「スポーツギア(=スポーツ用品)」の存在です。
地球規模でのスポーツ「競争」
ワールドカップやオリンピック・パラリンピックがまさに国家間の競争を呈するのと同じように、このスポーツシーンを演出するスポーツギアを製造・販売する企業群もまた熾烈な競争を展開させています。この業界の2大巨頭がNIKEとadidasという企業です。この2社を激しく追っているのがTHE NORTH FACEという企業で、皆さんのバックバッグでお馴染みの企業です。その後を日本ではあまり馴染みのないThe Phillips-Van Heusen(PVH)や、Dick’s Sporting Goodsという企業が続き、そしてUnder Armourと日本のASICSが追いかけているのが現状です。
これらの企業は、アスリートからの高度な要求に応えるスポーツギアの開発や製造を行うことで、そこからアスリート・ファッションという様々な「する人」「観る人」「支える(育てる)人」へのシンクロナイズされた商品展開を行い、世界中の人達をそのスポーツギアに包み込んでいきます。スタジアムやアリーナの実際の場や映像を通して映し出される躍動する姿と同期化するかのように、老若男女がウエアやシューズを身につけて自分化していくのです。それは国境を超えたビジネスの展開を目のあたりにしていることに他なりません。まさに、スポーツギアは「世界共通の人類の文化」となっています。
限りなく続くスポーツビジネスの攻防
地球規模で展開されている「富の攻防」。そのことがあらゆる側面での諍いを引き起こしていることは否めません。しかし、その諍いを超えたスポーツシーンのもたらす感動や共感は、それこそ人類の文化です。その主役である「人」に必ず影のように付随するのがNIKEやadidas、Under Armour等々であることも事実です。例えば、スキーやジャンプ競技で表彰台に立つと、必ずその板をそばに掲げることはご存知のことだと思います。テニスの錦織選手のウエアは皆さんもご存知のUNIQLOです。スポーツギアの専門企業でなくても世界中のアパレル企業が手を出すのは何故でしょう。それは大きなビジネス機会がそこに存在しているからです。これからもNever Endingの攻防が続きます。
協力/静岡産業大学